消費者金融大手4社の2007年3月期決算は、赤字の合計が約1兆7000億円に達し、上限金利の引き下げが消費者金融の業績に与える影響の大きさを改めて印象付けた。利息制限法の上限金利を超える利息の返還請求に備えて引当金を積み増す一方で、各社は今も返還請求の原因となっている「グレーゾーン(灰色)金利」での融資を続けている。アコムは早期に金利を引き下げる方針を示したが、業界が抱える構造的な問題の解決は容易ではない。灰色金利が全廃される2010年に向けたビジネスモデルの転換は、視界不良と言えそうだ。
ビジネスモデル転換見えず
■矛盾
灰色金利での貸し出しが禁止されると、利息制限法の上限である年20%を超える金利での貸し出しはできなくなる。しかし、大手4社は現在も20%以上での融資を続けている。例えばプロミスの場合、新規融資に適用する25・55%での融資は、残高全体の47・6%と半分近くを占める。大手4社で見ると、年20%未満での融資は、全体の約10?16%にとどまっており、「脱・灰色金利」への移行はあまり進んでいないのが実情だ。
こうした中、アコムは10日、新規顧客に適用する金利の上限を、現行の年27・375%から年18%に引き下げ、6月18日の契約分から適用すると発表した。灰色金利での融資を減らし、収益の圧迫要因となっている利息返還請求を早期に減らす狙いだ。
しかし、金利を下げれば利息収入が減少する。信用度が高く、貸し倒れの可能性の低い顧客を選んで融資しないと、金利収入で貸し倒れ損失を埋められなくなる。そのために融資基準を一気に厳しくすると、融資できる人が減って残高が急減し、事業そのものが成り立たなくなる事態になりかねない。
多くの消費者金融が、多額の引当金に苦しみながら、原因である灰色金利での融資を続けているのも、融資の急減を恐れているためだ。金利引き下げに動いたアコムの経営判断が吉と出るか凶と出るか。ライバル各社は、かたずをのんで見守っている。
■激戦区
灰色金利での融資から脱却する動きが活発になれば、経営環境は今以上に厳しくなることは必至だ。
個人向け無担保ローン市場は、貸出金利水準に応じた「すみ分け」が定着している。年20%超は専業の消費者金融、年15?18%は銀行系の消費者金融、年8?12%は銀行やリース会社といった具合だ。消費者金融大手が金利を引き下げれば、すみ分け構造が崩れて、限られた顧客層に業者が殺到し、これまで以上の激戦となることは間違いない。
アコムの木下盛好社長は10日の記者会見で、「企業イメージを上昇させ、ブランド価値を醸成することで顧客を獲得したい」と自信を示した。だが、返済能力が高く、低い金利でも貸し出せる優良顧客の数はそれほど多くない。銀行と消費者金融の全面的な連携など、業界の垣根を超えた再編につながることも予想される。
(読売新聞)
