消費者金融大手「武富士」の武井保雄元会長(故人)夫妻からオランダの投資会社の株式を贈与された長男の武井俊樹元専務(41)が、国を相手に贈与税など約1330億円の課税処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は23日、課税を全額取り消した。個人への追徴課税取り消しでは史上最高額とみられる。俊樹氏は延滞税を含め約1585億円を納税しており、判決が確定すれば国側は還付加算金を加えた1700億円余を返還することになる。
当時の相続税法は、海外居住者が国外財産の贈与を受けた際は非課税としており、贈与時の俊樹氏の「住所」が国内か海外かが争点だった。俊樹氏は香港に在住し武富士の現地法人の社長を務めていたが、国税当局は「税回避目的の一時的な滞在」と主張していた。
判決で鶴岡稔彦裁判長(定塚誠裁判長代読)は、俊樹氏が97?00年の3分の2を香港で過ごし、職業活動も香港が中心だったと認定。俊樹氏が非課税を認識していたとしつつも「税回避のみを目的に香港に滞在していたとは認めがたく、国内に住所があったと認定するのは困難」と判断した。
判決によると、俊樹氏は99年12月、元会長夫妻が出資してオランダに設立した投資会社の株式を贈与された。俊樹氏は贈与税を納めず、東京国税局は申告漏れを指摘した。
判決を受け、俊樹氏は「法で定められていない納税義務は負わないことが明確にされうれしい」とコメントした。
問題となった規定は00年4月の法改正で、贈与した人と受けた人のどちらかが5年以内に日本に住所を持っていた場合は、課税対象になると改められている。【北村和巳】
新谷逸男・東京国税局国税広報広聴室長の話 主張が認められなかったことは大変残念。控訴するかどうか、関係機関と判決文を検討中だ。
(毎日新聞)
