消費者金融大手がアジア市場に熱い視線を注いでいる。利息制限法の上限金利を超える「グレーゾーン(灰色)金利」の撤廃決定で、国内市場が猛烈な逆風にさらされているためだ。すでにタイなどに進出しているプロミス、アコムは海外事業をさらに拡大し収益の柱に育てる方針だ。アイフルはアジア進出をにらんだ情報収集を進めている。「多重債務問題を輸出するようなもの」(消費者金融問題に詳しい弁護士)との批判もあるが、各社とも生き残りのため、アジアに活路を見いだそうと懸命だ。
≪合計で年利28%≫
タイの首都バンコクの中心街。日系企業が軒を並べる目抜き通りに日本でもおなじみのプロミスの看板があった。
商業ビル内の店舗には、カップル2組を含む8人のタイ人の客がいた。店員にパンフレットかチラシがないかたずねると、「ありません」との返事。
利率は壁に大きく掲示してある。1万バーツ(約3万7000円)を1年借りた場合、返済額は11カ月目までが1000バーツで、12カ月目が498バーツ。利率は年14・98%になる。ただ、審査などのための手数料が13%かかるとの補足説明があり、合計では年約28%となる。
利息制限法の上限金利(10万円未満で年20%)と出資法(年29・2%)の間にある日本の灰色金利と同じ水準だ。
プロミスがタイに進出したのは05年。香港に次ぐ2番目の海外拠点だ。タイは現在1店で、窓口での融資実績は約4300件、計約4600万バーツ(約1億7000万円)。「店はいつも混んでいるが、審査を厳格にしており、成約率は1割程度」という。
店を出たカップルは「経営する飲食店の稼ぎが悪かったので、生活費の足しになればと思って申し込みにきたが、断られた」と話してくれた。
プロミスでは「進出を計画した当時は、タイの上限金利が手数料と合わせて約50%だった。しかし、制度改正で現在の28%に引き下げられ、多店舗展開は断念した」(広報担当者)と説明する。
このため、学校の教職員組織との提携ローンに力を入れており、窓口融資とは別に約1万5000件、約14億バーツ(約50億円)の実績がある。貸し倒れリスクが低い日系企業の現地従業員向けのローンにも力を入れていく考えだ。
タイにはアコムも上限金利引き下げ前の1996年に進出しバンコク中心に84店舗を展開している。すでに知名度も高く、「窓口業務に加え、個品割賦にも力を入れており、引き続き事業の柱の1つとして展開していく」(同)という。
≪与信管理を活用≫
両社はさらなるアジア進出にも意欲的。プロミスは韓国、中国にスタッフを派遣して情報収集を始めた。アコムも台湾に続いて昨年、中国とベトナムに駐在員事務所を設立したほか、三菱東京UFJ銀行と共同でインドネシアでローン事業を展開する準備を進めている。
他の大手ではアイフルが「具体的な計画はないが、アジア各地の市場調査をしている」と進出に前向きだ。これに対し、武富士は「当面は国内でのシェア拡大を目指す」としている。
国内では昨年12月の貸金業法改正で灰色金利を09年中をめどに撤廃することが決定。過去に取りすぎていた過払い利息の返還請求も急増し、高収益のビジネスモデルが崩壊した。
アジア市場は日本に比べ上限金利の水準が高く魅力があるほか、これまで蓄積してきた高度な与信管理ノウハウがアジアでも十分に活用できることが、日系消費者金融の進出を加速させている。実際、日本の中堅業者が相次ぎ進出している韓国では、日系がシェアを急速に伸ばしており、アイフルや武富士など大手進出のうわさもくすぶっている。
日本と同様に今後、多重債務者などが社会問題となる懸念もあるが、各社は「消費金融に対するニーズは高く、アジアでもわれわれの存在意義は十分にある」(大手幹部)と強調する。アジア進出の動きはさらに加速しそうだ。
(フジサンケイ ビジネスアイ)
